2007-11

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「狩野永徳」展覧会の楽しみ方(2) 洛中洛外図は予習してから見学する

 若き狩野永徳の書いた「洛中洛外図屏風」(上杉本)は、数ある「洛中洛外図」の中でも最高級の作品であるといわれています。歴史の資料集などで小さな写真を見ていると、どれぐらい素晴らしいかはなかなか実感できないけれども、実物を見ればうなづけると思います。しかし、前回述べたように、屏風の前は黒山の人だかり。そこで、短時間しか前にいられなくても、それなりの成果をあげられるように、事前に予習しておくことをおすすめします。

(1)小澤弘・川嶋将生『図説 上杉本「洛中洛外図」を見る』
     河出書房新社、1994年、2000円
 これは、131頁とコンパクトな本ながら、全頁にカラー図版を配した贅沢な作りで、平安京の成り立ちから洛中洛外図の成立まで、教科書のように丁寧に解説がしてあります。また、数ある洛中洛外図解説本の中では、芸能や中世賤民についての解説が格段に詳しく、この方面に興味のある人には必読文献です。

(2)平安京創生館の「洛中洛外図屏風」(上杉本)陶板壁画
 京都アスニー(京都市生涯学習センター)1階には、平安京創生館があり、そこに「洛中洛外図屏風」(上杉本)の精巧なレプリカである陶板壁画が常設展示してあります。サイズは、本物より大きく、しかも柵やガラスに囲まれていないので、好きなだけ近寄って見ることができます。ここで十分、屏風の中身を学習して頭に叩き込んでいきましょう。
 また、「洛中洛外図屏風」は、応仁の乱によって荒廃したあとの、いわば現在に連なる京都を描いていますが、794年に遷都された律令国家の都としての平安京は、まったく違った姿でした。その中心朱雀大路は、現在の千本通りで、ずいぶんと西に偏っています。この当初の平安京の姿を再現した巨大な模型が、同じフロアに展示してあり、いながらにして古代の京都と近世以来の京都を同時に見ることができます。(この模型は、同館で売られている『平安京図会』(300円)を広げながら見ると、各ポイントが現在の京都のどこに位置するのかがよくわかります)
 さらに、平安京創生館の事務室では、「洛中洛外図屏風」(上杉本)の所蔵元である米沢市上杉博物館の編集になる図録『国宝 上杉本 洛中洛外図屏風』(1200円)が販売されており、これも学習上おおいに参考になります。この図録は、B4サイズの大きなもので、屏風の右隻(うせき)・左隻(させき)の各6扇がそれぞれ1頁を費やして贅沢に提示してありますので、上記の小澤・川嶋解説本とあわせて見ると、全体像がよく把握できます。

・平安京創生館
  http://web.kyoto-inet.or.jp/org/asny1/about/institution/honkan/heian3.html
・国宝「洛中洛外図屏風(上杉本)」陶板壁画
  http://web.kyoto-inet.or.jp/org/asny1/about/institution/honkan/heiannkyou/rakutyuurakugaizu.html
・平安京図会
  http://web.kyoto-inet.or.jp/org/asny1/zue/zue2.html

(3)CD-ROM版「国宝 上杉家本 洛中洛外図大観」
     小学館、2001年、定価94000円(インターネット上では、8万円ぐらい)
 「洛中洛外図屏風(上杉本)」予習の極めつけとしては、このCD-ROM版の「洛中洛外図屏風」があげられます。屏風の全部がデジタル化されており、原寸の2倍にまで拡大して観察することができます。また、建物や人物にカーソルを合わせると、その多くにはラベルが付けられており(たとえば、「六波羅蜜寺」など)、さらにラベルの多くには、書籍版である『国宝 上杉家本 洛中洛外図大観』の解説がポップアップするようになっています。少し値段が高いのが難点ではありますが、「洛中洛外図屏風(上杉本)」の予習・復習には最高の環境を提供してくれるものです。
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