2008-01

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「特集 史料でよむ部落史」『部落解放研究くまもと』54号

 『部落解放研究くまもと』54号に掲載された山本尚友氏(熊本学園大学社会福祉学部教授)の講演録「特集 史料でよむ部落史」(本の表紙と背表紙には「資料」とあるが、本文のタイトル「史料」に従った)を興味深く読んだ。山本氏には労作『被差別部落史の研究―移行期を中心にして-』(岩田書店、1999年刊)があるが、今回の講演録は、前著に続いて、さらに中世賤民がどのようにして登場したかを古代までさかのぼって論じたものである。また、講演ということもあって、これから研究しようというアイデアを述べたところもあって、興味は尽きない。
 被差別部落の起源については、江戸時代初め(あるいは安土桃山時代)に身分制が成立し、その下に分裂支配のために政治的に作られたという「近世政治起源説」が、1990年代まで猛威を振るっていたのだが(これは、運動の論理によって研究が歪められた最たるものである。詳しくは、師岡佑行『戦後部落解放論争史』全5巻を参照)、さすがに部落史研究の進展により、今は中世起源説が主流である。しかし、今回の山本氏の研究を読むと、中世起源説でも不十分で、起源は更にさかのぼるということが明らかである。中世賤民とはいいながら、平安中期あたりにはその姿を現しており、「古代起源説」と言ってもいいぐらいなのである。ただし、古代起源説と言ってしまうと、律令体制が賤民を生み出したようなイメージとなり、本質を言い当てそこなう感じもする。厳密に言うと、「律令制崩壊起源論」というべきか。
 ともかく、現在の被差別部落起源論の到達地点を知るために、一読をおすすめする。

※山本尚友氏のプロフィール
   http://www.kumagaku.ac.jp/daigakuin/kyoin/syafuku/yamamoto.html
※山本尚友『被差別部落史の研究―移行期を中心にして-』(岩田書店、1999年刊)
   http://www.iwata-shoin.co.jp/bookdata/ISBN4-87294-156-X.html
※熊本県部落解放研究会(ただし、このHPは更新が少し滞り気味。がんばれ)
   http://www.kumamoto-kaihoken.jp/index.html
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