2008-03

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「激流中国 上海から先生がやってきた~貧困の村で~」のエピソード

 3月3日のこのブログで、NHKスペシャル「激流中国 上海から先生がやってきた~貧困の村で~」を紹介した。その時の取材のエピソードが、今日の『朝日新聞』土曜版=「be on Saturday business」3頁に紹介されている(莫邦富「感謝する寧夏の運転手」)。
 この番組の取材でチャーターされたロケ用のバスの現地運転手は、最初、単なるビジネスとして運転していた風だったが、そのうち、ものすごく協力してくれるようになったそうである。その働きにたいして、莫さんが礼を言うと、自分こそ感謝しているとの返事だった。彼いわく「みなさんと一緒に何度か食事をともにした。5人で料理の数がいつも5品まで。食べ残しは持ち帰る。中国より豊かな日本から来たあなた方が豪華な食事をしないばかりか、食べ物をとても大事にしているのを見て心を打たれた。家族にもこのことを話し、あなた方には全力を挙げて協力すると誓ったのです。…いつも豪華な宴会を開いているここの幹部たちがみんなあなた方のように無駄のない食事をしていれば、子どもたちはもう少しおなかを膨らませることができたのに」。
 これを読んで、人の意識を変えたり、偏見をなくすために重要なことを再認識させられた。やはり、何か感動を与えてこそ人の意識は変わる。そして、相手の意識を変えるためには、まず、自分の身を慎まねばならない。そもそも変えようとして演技するのではなく、常日頃の行動から滲み出た行為こそ、人に感動を与える。なかなか、「言うは易く行うは難し」だが…。
 最近の不祥事を見るにつけ、部落解放運動・同和業界でこれと正反対のことが行なわれているのは、嘆かわしい限りだ。そういえば、上田正昭先生が、2月25日の部落解放・人権研究所総会で講演されたときに、河原者又四郎の名言「屠家に生まれたのを悲しむが、だからこそ命を大切にする」というのを引用されたそうだが、まさに上記のことだと思う(研究所通信 355号、2008.3.10,p.3)。
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滋賀県同和問題研究所の解散

 『部落問題研究所 会報』186号(2008.4.1)は、部落問題研究所と提携関係にある(つまり共産党系)研究機関の最近の状況を特集しているが、特に目を引くのは、滋賀県同和問題研究所理事長=山田稔氏によるトップ記事「滋賀県同和問題研究所は近く解散します」である。地方単位の部落問題研究機関としては、最も老舗の部類に入る「滋賀県同和問題研究所」が、近く解散する予定で、月刊『滋賀の部落』もこの3月号で終刊とする由である。研究会の時代から数えると40周年にあたるそうで、山田氏による終結の文章にはどこか苦渋とも安堵ともつかぬ感慨がにじみ出ている。私自身としては、部落問題に関連する研究・教育・啓発機関は、細く長く続けていくべきものと思っているので、残念であるが、ともかくお疲れ様でした。
 その他、会報には、岡山・兵庫・愛知での研究機関の存続の苦労が報告されており、部落解放同盟系の類似機関と、かかえる問題は同様であることが見て取れる。一つには財政の問題であり、もうひとつは、部落問題から人権への転換(私から見ると拡散)にともなう焦点の定め方である(この点については、またの機会に論じる)。

 現在の部落問題の現状と同和予算の削減の中にあって、部落問題の研究・啓発機関は少し過剰気味で、都道府県単位に一つが成り立つというのは無理なことだろうと思う。まして、それぞれの地域で、解放同盟系と共産党系が並立すれば、なおさら過剰であろう。本当は、道州単位(まあ、北海道と東北には不要と思うが)ぐらいにまとまれば、ちょうどいい規模と予算ではなかろうか(それでもたいへんだろうけれども)。
 また、運動の都合で研究機関が対立している状況も、そろそろ解消したいものである。もちろん、今までの経過があるので急には無理だと思うけれども、本来は、部落差別をなくすための研究・啓発の中で、机をならべることさえできないほど対立があろうはずもなく、今あるのは、部落問題解決の外側にある問題が内側に持ち込まれているだけである(実際、50歳未満の世代の研究者では両者にそれほど大きな溝はない。溝があるのは、全共闘世代まで)。日本共産党がそろそろヨーロッパの共産党のように、共産党の看板と前衛党主義を捨て(そうすれば、政権獲得だってできるかも)、また、一方で、部落解放同盟が、同和事業獲得第一主義を捨てて、地道な市民運動にスリム化すれば、それほど大きな障害はないと思うのだが。
 まぁ、当分、どちらも無理と思うけれども。

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