2017-08

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部落民なき部落解放運動

 2008年もいよいよ今日を残すのみ。2008年の部落解放運動を振り返ってみると、あまり前向きで明るい材料はなかったという思いが強い。
 とりわけ、「飛鳥会事件」以来(本当は「ハンナン事件」も一連のものと考えるべきであるが)の部落解放運動・同和行政をめぐる不祥事報道を受けて出された「部落解放運動への提言 一連の不祥事分析と部落解放運動の再生にむけて」(2007年12月12日)にもかかわらず、部落解放運動の自浄能力はまったく発揮されなかった。お先真っ暗である。
 ところで、2008年の部落解放運動を振り返って、忘れられないのは、不祥事に対する自浄能力の問題だけではなく、部落大衆の部落解放運動離れが顕著にすすんだことである。 さる12月4日、京都会館で開かれた「京都部落差別事件真相報告集会」(主催:部落解放・人権政策確立要求京都府実行委員会)に参加した。私は、部落解放運動に関わって、36年、京都で関わってからでも32年になるので、部落解放同盟員が参加していれば、だいたいどの方面からの参加者かはわかる。普通の集会であれば、名前のわかる人だけでも何十人かはいるのである。ところが、今回参加して驚いたのは、解放同盟員の姿がまったく見えないことである。参加約300名ぐらい(もう少しいたかな。かつてピーク時は2000人ぐらいだったと思うが)の人たちをぐるっと見渡しても、知り合いの同盟員がまったくいない。一瞬、開催にあたって実行委員会の中で意見の相違でもあり、解放同盟がボイコットしたかと思うぐらい、同盟員がいない。しかし、一応、雛壇には部落解放同盟京都府連の幹部が数名ならんでいるので、トラブルではなさそうだ。私は近眼なので、広い会場を見渡して、顔がすべてわかるわけではないのだが、参加の顔ぶれは、入社10~20年めの社員の研修会みたいな感じで、運動関係者はたぶん30人に満たなかっただろう。
 つまり、年に2回の大きな集会(冬の真相報告集会と、夏に総会がある)の参加者が、企業、宗教団体、教育関係者、労働組合で占められているということである。参加していた解放同盟の幹部諸氏が、なんだかバツの悪そうな顔をしていたのは、私の気のせいかな。少なくとも、私は、参加者に申し訳ないような恥ずかしいような気がして、冷や汗が出た。部落差別をなくそうという集会に部落民がいないとは、どういうことだ。
 しかし、よく考えてみれば、集会に参加しているのは、おおかたは、ちゃんと日当の出る=業務として来ている人ばかりである。かくいう私も、大学の人権センター室長として参加しているので、自由参加の一市民ではない。解放同盟員は、昔は公務員の職にある人が、職免(職務免除)で来ていたわけで、それができなくなった今、有給までとって来ようという人がいないのも、わからないわけではない。部落解放同盟員を動員しようと思えば、夕方にやるか、土日にやるかしかなく、その場合は、企業側は社員を休日出勤にさせなくてはいけないので、あまり歓迎されないことになる。しかも、解放同盟員に自主参加を呼びかけても、どれだけ来るかはお寒い状態だろう。
 こうして、部落解放運動は、共闘団体を頼るしかない状態にまで衰退したとみて間違いない。そして、どちらを取るかが今や問われている。少ない人数でも、自主的参加に期待するか、部落民のいない恥ずかしさに耐えて、平日に、共闘関係の動員に頼るか。私の考えるところでは、もう、これ以上、解放同盟が外部の動員に頼って、数の上でのバブル集会を続ける意味はないのでなないかと思う。このことについては、また機会を改めて書くつもりである。
 ついでに、集会内容にコメントしておけば、これがまた大問題である。後半の、「福岡県立花町連続差別ハガキ事件」の報告はまだしも(しかし、はるばる福岡から来てもらわなくては、事件と称するような差別の問題は、無くなったのかな)、前半の「朝日放送「ムーブ!」報道と取り組み」に至っては、何をかいわんや。同和事業・部落解放運動をめぐる不祥事報道に対して、自ら正さなくてはならないことを棚に上げて、報道番組のあらさがしに終始したもので、冒頭述べた「提言」を黙殺する内容であったことは、遺憾千万なことであった。朝日放送には、この不当な圧力に屈して謝罪などすることの無いようにお願いしておく。この点に関しては、稿を改めて書くつもりであるが、実に不愉快な集会だった。エセ同和行為の援護射撃につき合わされるなど、まったく御免こうむりたいところである。
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