2017-10

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東近江市問題は差別事件にあらず(2)

 『解放新聞』では、あまり事件の内容や経過がわからないので、もう少し詳しい経過を確認しておこう(資料は、主として2008年3月25日(火)に愛荘町で行なわれた「愛荘町役場への東近江市民による電話での同和地区問い合わせ差別事件真相報告集会」で配布された資料、および2008年10月3-5日に宮崎県で開催された部落解放研究第42回全国集会第4分科会での東近江市問題の報告資料による。)

 2007年8月16日に問い合わせ事件は起こった。会話の中味は、前回紹介したとおりである。電話を受けた愛荘町役場は、着信履歴から電話番号を特定し、東近江市との情報交換、特定作業を経て、電話の発信者を確認した。そして、東近江市は、同日17日、22日、23日、28日の4回にわたり単独で聞き取り調査を実施、10月4日には愛荘町と合同で聞き取り調査をしている。
 まず確認しておかなくてはいけないことは、東近江市自体が、この件を差別事件ではないかと疑って、調査に乗り出したということである。通報を受けて、即日、該当者を割り出し、4回もの聞き取りを実施しているのは、電光石火の早業で、なかなかできないことだ。そして、調査の結果、この件に関して、東近江市は、部落差別事件ではないが、良くないことには違いないという認識で、本人に反省文を書かせている。私の読む限りでは、東近江市の対応は、迅速適切で、解放同盟に抗議されるどころか、表彰されてもいいぐらいのものに思える(もっとも、運動的には表彰できても、人権上の問題はあると思う。この点は、後に述べる)。

 ところで、東近江市がY氏に話を聞いた結果、この事案の特異な事情が判明する。通常、「○○地区は同和地区ですか」という問を発するときは、差別をするためか研究をするためかにはっきりと分かれるもので、どちらでもなく、「ただ知りたかった」というようなことは、過去にはあまり例がない。このことは、部落解放同盟が指摘する通りである。しかし、問い合わせ事件を起こしたY氏が事情聴取に対して答えたことは、以下のようなことである(全研資料に掲載されている東近江市の報告より)。

「…電話をかけた事実について、自分がかけたことに間違いないと1回目の聞き取りから話され、以後の聞き取りについても素直に応じてくれました。
 電話当日、びわ湖放送が放映している人権問題・同和問題のスポット放送を思い出し、その時、20年~25年ほど前に当時の八日市公共職業安定所を訪れ、外の自転車置き場で3~4人の人が話している会話をそばで聞いた場面の記憶がふと蘇ってきたようです。その会話とは、同和地区の人たち同士が同和問題の話しをしているようであって、その折りに、「愛知川の○○〔平居(ひらい)、同和地区ではない―灘本による補足〕は地区」「八日市の○○町の△△」「わしも同和」とかいう言葉を耳にしたようです。
 なぜ、このような電話をしたのかについては、記憶の中の「愛知川の○○は地区」が本当かどうかどうしても知りたくなり、役場に聞いてしまったということでありました。聞き取りの中で、「愛知川の○○」については、「場所も知らない」「知った人もいない」「尋ねてほしいとの依頼もない」とのことでありました。また、知ってどうしようということも感じられませんでした。
 「八日市の△△」と発言したことについては、「どちらの方か」と当直者に何度か名前を聞かれたことや、やや強い口調で尋ねられたため、このようなことを聞くことは悪いことなのかなと思い受話器を下ろそうとしたが、同和地区同士なら教えてくれるかな、ととっさに以前の職業紹介所で耳にした名前が出てきたとのことでありました。…」

 それにしても、50歳過ぎのいい大人が、どうしてこんなことをと思うのだが、このY氏は、心身に不調があり、自分で思い込んだことに強く固執してしまうようなメンタルな課題も抱えているようである。また、母親とは別居していて、生活保護を受けながら一人で暮らしているということである。

 この事件を簡単に言えば、こういうことだ。―テレビで流れてきた同和問題啓発スポット放送の「同和」の言葉に触発されたY氏の脳裏に20数年前の記憶が蘇り、「愛知川の平居は地区」という話しが気になってしかたがなくなった(ちなみに、「平居」はY氏の住所から北西数キロのところにある。そんなところに同和地区があったっけと、疑問に思ってもそれ自体は、不思議ではない)。役所に聞けば疑問は解決すると思って尋ねたところ、強い口調でとがめられ名前を聞かれたので、苦し紛れに、これも職安での記憶をたよりに、「八日市の○○町の△△」〔○○は同和地区の地名で、△△はありふれた人名―灘本による補足〕と部落民をよそおって答えた。

 たしかに、この件は、たいへん人騒がせな事件(「事件」は大げさにしても)であり、役所としても、こんな問い合わせに振り回されるのは困りものだろう。Y氏の行為は、迷惑な奇行ではある。しかし、差別事件ではない。
 そもそも、Y氏の証言を信用するならば、「愛知川の平居」という地名にしても、「八日市の○○町の△△」という人名にしても、もとはといえば、同和地区住民とおぼしき人たちにより、不特定多数が聞いているような状況下で公然と語られたものである。Y氏を責める以前に、そんな人たちをなんとかしなくてはいけない。もし、私がそこに居合わせたら、「あなたたち! 何を言っているんだ。何処そこが部落だの、誰それが部落民だの。自分で何を言っているかわかっているのか! 部落民だからと言って、何を言っても許されると思うんじゃない。解放同盟の支部に通報して、統制処分にかけるぞ!」とどなっているかもしれない(部落民だから解放同盟員だとは限らないけれども)。まぁ、何処が部落で、誰が部落民かわかっても差別しない、されない社会をめざしているのだから、冷静になれば、のんきにそんな話しをしている部落のおっちゃんのほうが、却って健全なのかもしれないが(願わくば、仲間内のざれ言で言うのではなく、地域社会で胸を張って生きていてくれればいいのだが)。
 それはともかく、その時の印象を、Y氏は「人が聞いてもあきれるようなことを言ってはったでな」「知らん人が聞いたら一般の人を脅しているような感じにとれる」と語っている。部落解放同盟やそれに同調する行政は、この発言をもって、Y氏に差別意識ありと言いたがるのだが、それはあまりに一方的な話と言わなくてはならない。こんな話をワイワイガヤガヤ言い合っている人たちを見たら、部落内外を問わず、良識ある人の顰蹙をかって当然であろう。Y氏の今回の行動は、もちろんほめられたものではないが、しかし、Y氏だけに責任を負わせるような問題ではなかろう。
(続く)

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